【往復書簡】ロードスターをめぐる自動車問答 その4

  • 2020.07.20 Monday
  • 20:16

わずか7週間だけ私の元にいてくれたロードスター、acatsuki-studioさんのところへ嫁いで幸せに過ごしている。

まだ嫁いでから日も浅いのだが、すでに「同じクルマ」を持ったオーナー同士だからこその話題が繰り広げられている。そんなふたりだからこそ生まれてくる「自動車談義」だが、ひそやかに交わしていたメッセンジャーを飛び出し、いっそ公開してしまえ!というのが今回の企画【往復書簡】。本家「クルマで行きます」でacatsukiさんがあげられた第三報を受けて、私から拝復。

 

その4 ヘンタイに付ける薬なし

このお題がすべてを語ってしまっているようなものであるが、結局のところ「正しい自動車」では満足できなくなっているのだ。acatsuki-studioさんの文中に

 

> 常にキャラクターの異なるクルマハーレムを構築されているProfumo姐さんなら、この答えをご存知であろう。元祖ビートルやNCロードスターという「正しい自動車」をコレクションに加えてきた姐さんならなんとお答えになるであろうか。

 

とあるが、ご存じのとおり、Beetle type1に対して深く敬意を表したものの、結局のところ短期間で手放しているのだ。それが答えだろう。これまで手にしてきたどのクルマよりも「正しい」と感じているのに。

結局のところ、acatsukiさんも私も、「信頼性」「均衡」「素直さ」「実直さ」「正しさ」よりも「変化球」「刺激」「一点突破」「奔放さ」「自由」を選んでしまうヘンタイなのだ。そもそもアルファロメオファンなのだから、美しさのために多少不便な思いをしても仕方がない、と思えるわけだ(笑)。 工業製品であり便利グッズであるはずのクルマに、利便性よりもいかに自分が刺激され魅了されるかを重視してしまう困った人たちはそれなりの数いらっしゃるが、その度を超えてしまっているある種の不適合者なのである。

私たちはヘンタイではあるが、ある程度公正にそれぞれの自動車を評価しよう、という努力もしている。だからNCロードスターが正しいことも優れていること清純なこともきちんと感じている。もちろんクルマの出来がとてもいいのでさしたる審美眼がなくてもわかるのだが(笑)。それを素直に「きもちいいなぁ」と思っているのだが、やっぱり強く引き付けられるのは、過剰に演出されたアルファロメオでありアバルトなのだ。これはもう病気である。不治の病。性癖といってもいいかもしれない。かくして私たちは喜んで控室へと向かうのである。そして共感してくださるみなさんが集っておられるのである(笑)。

 

実は、2通目を書いた後すぐに、このエントリーのためにもーーっと長い考察を書いていた。が、acatsukiさんの3通目、これまでの皆さんのコメントを見ていたら「もういいんじゃね」って思っちゃったのです。ほら、みんなヘンタイじゃん!みんなアブノーマルじゃん!って。この往復書簡に共感された方は、たとえ生活用に国産コンパクトカーや軽自動車を持っていらっしゃっても、所詮仮面ヘンタイなだけ、その実ヤバいクルマを愛してやまない本性をお持ちなのですよ。ふふふ、ヘンタイは私だけではない!

 

それにしてもオープン2シーターという非日常的な、いわゆる「2台目なら」といわれるようなロードスターを、とことん正統派でまともな人が乗るクルマ、みたいな言い方になっちゃっているところ、やっぱり皆さんすごいな、と思った。

私にとってのNCロードスターの印象は、私に乗馬の基礎を教えてくれた馬ロザレスと同じだった。クラブオーナーのレッスンの時には素直に動いているのだが、自主練習の時には正しい指示を出さないと動かなくなったり振り落としたり。ちゃんと指示が伝わると素晴らしい動きを見せてくれる。競技会が大好きで、ロザレス自身がコースもポイントも覚えていて、どんどんきれいに動いてくれるので高得点が取れてしまう、というなかなかにクセのある馬だったが、正しい乗り方を教えてくれた。ロードスターにもそんなところがあって、適当な乗り方でも楽しめるが、きちんと乗るとその分ちゃんと動いてくれて、ワインディングなどに持ち込むとロードスターが途端にイキイキと動いてくれるような。二人しか乗れないオープンカーという面がクローズアップされがちなのに、そういったロードスターの真髄である操作上の機敏さにフォーカスをしてコメントをされるみなさんに感激し、尊敬しました!

 

それと、本妻と愛人の定義についてもみなさん見解が分かれているのではないか、と感じた。

私にとっての本妻とは、自身と相手の変容を受け入れつつ恒常的に生活を共にする伴侶であり、愛人とはその時の自分の在り様に合致した一過性のパートナーである。刺激的なセックス云々ではなーい!それは愛人ではなくそれを生業とされているかたとされてください。愛人と商売女はイコールではない!

私のイメージでは、生涯添い遂げる覚悟を持つ本妻にはまじめで賢くそつなくこなし、いつでもいつまでも一緒に生活することを前提として選び、ライフスタイルや趣味に合う、そのときの自分を向上させてくれるようなタイプを愛人として遇すると思っている。私はヘンタイなので、面白みのない凡庸な優等生よりも、何をしてくれちゃうかわからないような、ほかの人にはわからないかもしれないけど私にはビシバシ刺さっちゃうような蠱惑的なクルマを選んでしまうのである。たまーに、清純派にも触れたくなるのだが、そしてすごいな、と感心してしまうのだが、結局のところ満足はできずに元の濁りの田沼恋しき、でイタ車の沼におぼれてしまう。そうして愛人タイプを正妻として選んでしまうのだ。

 

NCロドを仙台にもっていった際にacatsukiさんに「アバルト124はどうよ」と聞かれて、とっさに顔がにやけたものの返答に困った。というのも、納車されたばかりの124が刺激的で面白すぎて、その日3日ぶりくらいにNCロドに乗ったら素直すぎて物足りなくて驚いていたからだ。そんなこと嫁入りにもっていったのに言えない!NCロドでは、おお、回すと反応が良くなって楽しいねぇ、とかやっぱりワインディングではいい動きをするねぇ、なんて思っていたのに、124ではこのしゅーしゅー言うのがたまらん!とか、ぱんっていわないかなぁ、とか、このエキゾーストノートが!など、全然視点が変わってしまっている。回して楽しいの当然、速いの上等、なスタート位置なのだ。求めるところが違いすぎる!そんなことは里親のacatsukiさんには内緒だが(っといいつつ、全国公開してしまった…)。

 

そんなわけで、私の正妻はAlfa Breraであり、Abarth124なのだ。だからacatsukiさんもAbarth Punt Evoが正妻なんじゃないですかね。私たちは永遠にまともな無難なクルマを正妻として迎えることはできないと思います!なので、控室のみなさまとこれからも楽しい愛人談義を繰り広げましょ。

 

 

 

追記:相手の書簡を受けて書くのはホントに大変だったけど面白かった!でもさ、私だけ2回受けて書いてるのに、acatsukiさんは1回ってズルいと思うの。編集後記をお願いしますよ!

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